地獄の鳥籠

2018/02/24

ゴチャゴチャしてるガリュウとシオンの過去的な何か。
望まれなかった命が過ごした地獄のお話。
ほんの少し暴力的で性的な表現がございます、申し訳無いですが耐性の無い方はオススメしません…。
安定の歪み具合。やっぱり歪む。







「…御免ね、御免ね」
無音の暗闇の中に、聞いたこともない声が涙を堪えた声で謝った。
「…   、   。貴方達の名前よ。大切に、どうか大切にして頂戴ね…母さんは貴方達を産むけど、恨まないで…どうか、産まれた事を恨まないで。強く生きるのよ」
嗚呼、名前が分からない。僕は誰?ぼくの手を握って離さないこの子はだぁれ?
教えてお母さん、どうして、


どうして、オレ(俺)をこの世に産み落としたの?


暗い。寒い。音が無い。
殺風景な空間には湿気った空気が溢れ、カビの臭いに鼻は感覚が失われつつある。
感覚の麻痺した白い手を伸ばして、書物の山を漁りお伽噺を手に取る。埃を吹き飛ばして表紙を見ると「醜い鬼の子」と称された、角の生えた子供が角が生えているせいで閉じ込められ、罵詈雑言を浴びせられ虐待され誰にも助けてもらえずに死を迎える昔話だった。
「まるで僕みたい」
ポツリと言葉を溢す。闇に吸い込まれた呟きには、静寂しか返ってこない。
「紫苑は、今日も御機嫌斜めかな?」
誰も居ない場所に目を向けて言う。正確にはそこには居ないが、少年には見える子供が居た。紫苑と呼ばれた子供は不機嫌そうに目を据わらせて少年の傍に腰を降ろす。
「我竜兄さんは、何時も何時も辛い目に遇うのに気にしないで穏やかだね。俺は兄さんにしか分からないから、止めさせたくても止めさせれない」
涙を瞳に貯めて、紫苑は我竜と呼ばれた少年を抱き締める。そんな彼の震える頭を、優しい手付きで撫でてやった。
「大丈夫、紫苑は僕の中で、僕しか会えない場所で守るの。だから、母さんのお腹の中で紫苑と『一人』になったんだ」
端から見ればただの独り言にしか見えないが、それでも我竜は気にしない。何故なら、紫苑は確かにそこに存在しているからだ。
「兄さん、兄さん、これ以上あんな汚い奴等の言いなりになったらダメだ。お祖父様も父上も母上も、形は違えど兄さんを守ってくれた義母様も居ない。兄さんは、食い潰されて死んでしまう」
紫苑は我竜を抱き締め、涙を溢して悲しむ。自分が我竜を守れたらと思い、とめどなく溢れる涙を拭わずに今にも壊れそうなたった一人の兄を抱き締める。
そんな愛しい弟の悲痛な願いに笑みを溢し、柔らかく口を重ねる。驚く紫苑を気にせず口を離してくしゃりと笑って胸の呪いを見せる。
瞬間、紫苑の顔は歪み「ダメ、死なないからって汚れちゃ嫌だ」とまた泣いて首を横に振る。
「大丈夫、大丈夫だよ」
そう言い、紫苑を撫でようと手を伸ばしたら、脇腹に鈍い痛みが走り体が跳ね飛ぶ。「兄さん…!!」と言う紫苑の悲鳴が聞こえ反応しようとするが、直ぐ様腹を蹴られくぐもった声が漏れる。
鈍い痛みに耐えながら次の行為に移るまでひたすら目を瞑る。「止めて、兄さんが死んじゃう…!!」というすすり泣く声を安心させてやりたくて、精一杯の笑顔を紫苑に向ける。
一頻り続いた暴行が止み、のろのろと瞳を開くと乱暴に着物を脱がされる。
「止めてぇ!!」
紫苑が我竜に乱暴を働く大人を止めようとするが、すり抜けてしまって転ける。紫苑は唇を噛み締め、「止めて、止めて…!!」とその場にうずくまり震えていた。
唇、首と徐々に下に行く熱い何かを拒む事をせず、我竜はただ静かに熱だけを受け止める。腹部に感じる熱と圧迫感に吐き気を覚えるが、慣れた行為に痛みは感じない。感じないようにしていた。
しかし軋む心は直ぐ様涙となり瞳から溢れ落ちる。何故自分がこんな辛い事をしているのだろうか。徐々に熱さを増す行為に涙は溢れて止まらない。ぎこちなく望むように鳴けば、褒美とばかりに熱が増した。
「…………やる」
うずくまったまま動かなかった紫苑の片方の瞳から、血の様に真っ赤な雫が溢れ落ちていた。
瞬間、鮮血が少年を染め上げる。自身の右手が異形に、そう、まるで竜のように変化し目の前の大人の喉を食い破る。
「ころ、してやる……」
右手が大人を食い破る度に口の中には生臭い肉と血の香りが溜まり、吐き気を催すと共に興奮する。
命の千切れる音が鳴り響く。ぐちゃぐちゃ、ずるずると鳴り響く音。
「殺してやる……!!」
さっきまでの優しい顔は失せ、殺戮を楽しむ異質な顔が覗く。
「皆殺しだ、僕と俺を苦しめる悪い汚い大人は皆殺しにしてやる!!」
両目の白目を真っ黒に染め上げた『一人』は、片方の瞳から血を。もう片方の瞳からは美しい雫を流した。


地獄の鳥籠。それでも兄さんの瞳からは、慈悲深い雫が伝っていた。



ダイジェストだから荒いけどこんな感じの暗い過去()
色々端折った、しかし続いたりはしないはずこれは酷い。